落合博満はヘップバーンのファンだった

 秋田の高校生だった落合博満には、オードリー・ヘップバーンは「見たこともない美しさ」だった。(「戦士の休息」第2回) 
 そういえば夢酒が予備校をサボって映画館に入り浸り、たまたま観た『ローマの休日』でヘップバーンの美しさに度肝を抜かれたのも、ちょうどその頃だったはずである。(この記事参照してね)

 いやあ、奇遇ですなあ。 

 そして、落合さんは『カサブランカ』のイルザ役、イングリッド・バーグマンの魅力についても語る。そうそう、そうなんだよなあ、落合さん。こうなったらもう偶然ではない。男同士の固い絆である。分からない者には分からなくて結構。なんなら夢酒が数ヶ月前に書いたばかりの記事を見て欲しい。

 実は落合さんは、この4月からスタジオジブリの小冊子『熱風』に「戦士の休息」と題して、自分の映画遍歴などを連載しているんですよね。落合ファンでもある鈴木敏夫さんから依頼されたのでしょうか。夢酒は横尾弘一さんのブログで知りました。なお、『熱風』定期購読のご案内はこちら


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 落合さんの映画好きは有名で、それは高校生の頃、野球部での鉄拳制裁に嫌気がさし、学校をサボって映画館で1日過ごすようになったことから始まる。以前トークショーでも、年間300~400本の映画を観たと語っており、はあ?いくらなんでも多すぎじゃんと思いましたが、1日3~4回の上映をすべて観て、1週間続ければ20回。つまり4~5ヶ月でそれくらいは軽くいってしまう。夢酒の聞き間違いではなかった。正確には、延べ300~400本ということですな。

 面白いのは16歳の博満クンが、理不尽な暴力と熱血対決するのではなく、さっさと映画館へ逃げ込んじゃったこと。落合博満という男のインドア派体質が、早くも全開であります。
 暗い映画館で日がな一日、それも何日も何週間も一人映画を見続ける孤独の中で、落合少年は何を考えていたのでしょうか。登場人物の心理や背景、セリフ、BGM、ストーリー展開。それらすべてを吸収して、果てしない想像を楽しみながらも、一方では明日の見えない自分を持て余し、もがいていたのではないか。そのことは、やがて落合少年の内面世界を豊かにし、したたかな精神性へと高め上げたはずです。
 
「スクリーンの向こうの外国人女優に興味を抱いたことで、私は自分なりの映画の味わい方を作り上げた」
「オードリー・ヘップバーンが私の人生に与えた影響は少なくないと思う」


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『ローマの休日』から。オードリースマイルがたまりませんな。



 いずれにせよ、他の野球人とは決定的に異質な成長期の経験が、後年の「落合野球」に大きく作用したのは間違いありません。

 選手時代も監督時代も、落合さんには球場は映画館のスクリーンだったのかも知れません。グラウンドを眺めただけで、一瞬にして情景を把握していたと言うし。登場人物の群像から、スクリーンでは感じられないはずの空気の匂いや風の吹き方までも。そして、ぶっきらぼうなコメントは、まるで『カサブランカ』のリックが放つセリフのようです。
 落合さんは座席の選び方について、「映画館の座席はなるべく後方で、一番右か左か、とにかく端にしている。中央に座ってしまうと、スクリーン全体を見るのに視線を左右に動かさなければならない。左右どちらかの端なら、そこを起点に一方向に視線を動かせばいい」と。
 ナゴヤドームのベンチから「定点観測」していた落合監督のスタイルは、映画の見方にルーツがあったようです。

 昨年の「落合解任」から連覇達成まで。決して表に出さない指揮官の内面、理解できない人々、足を引っ張るフロントの陰謀、それをはねのけチーム一丸で達成した逆転優勝、選手たちの涙に送られて去っていく監督・・・。
 社会現象にまでなったドラゴンズの優勝劇は、落合さんが自ら作り上げた上質な映画のようでした。
  
  

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