ジェフリーズの誕生日
相変わらず海外ドラマが面白いです。
最近までハマっていたのは、イギリスBBC制作の『魔術師マーリン』。アーサー王伝説を基に、若き日のアーサーとマーリンの友情や冒険が描かれて、子供のようにハラハラドキドキしながら見ていましたが、とうとう終わってしまいました。寂しいです。マーリン・ロスです。
海外ドラマの魅力のひとつに、登場人物が交わす会話の面白さがあります。夢酒は字幕派なので、絶妙なセリフが入ると、思わず翻訳者の力量に拍手を送りたくなります。
で、今回は『コールドケース 迷宮事件簿』 シーズン3 第21話から。
あのジェリー・ブラッカイマーが手がけるアメリカのTVドラマです。
「コールドケース」とは未解決事件の意味。フィラデルフィア市警殺人課の刑事たちが未解決の殺人事件を再捜査する中で、事件当時の社会背景や被害者を取り巻く人間模様が浮かび上がり、やがて意外な犯人へと辿り着きます。被害者の無念、遺族の悲しみ、そして犯人の苦悩さえもが胸に迫ってきます。
時には50年以上も前の事件を追うこともあります。街も人もすっかり変わっています。犯人が生きているかどうかも分かりません。もし生きていても、よぼよぼの老人になっている筈です。
それでも刑事たちは、決して捜査をないがしろにしません。被害者とその遺族に寄り添い、真実を明らかにすることが使命だと考えているからです。「被害者が 誰ひとりとして忘れ去られぬように」と。
事件が解決して‘CLOSED’(解決済)とフェルトペンで書かれたケースが書庫に収められると、殺された人が一瞬現れ、ありがとうと言いたげに微笑んで消えていきます。この場面で、ついウルっとなってしまいます。
なお、ヒロインのリリー・ラッシュ刑事を演じるキャスリン・モリス(←すげえ美人です)は、Wiki先生によると、名古屋に住んでいたことがあるそうです。
さて、そんな刑事たちも人の子です。前回(第20話)では、黒人のベテラン刑事ウィル・ジェフリーズは、少女レイプ殺人事件の再捜査を認めない検事補を殴ってしまいました。その検事補は犯人とされた死刑囚の無実を証明する手紙を隠していたのです。死刑囚も黒人でジェフリーズと同郷だったことから、背後に人種差別があることを伺わせます。
結局死刑が執行された後に真犯人が判明し、クソ検事補は解雇されます。でもジェフリーズも無期限に捜査から外され、不慣れなデスクワークをさせられるハメになります。
今日はジェフリーズの誕生日。しかし彼は、何もしないで欲しいとボス(スティルマン警部補)に頼みます。
そして慌ただしく一日が終わり、リリーは担当事件の関係者に話を聴くためNYへ。それぞれに用事を抱えた他の後輩刑事たちは帰宅。
一人デスクに残ったジェフリーズに、ボスが声をかけます。
「今日は電話番を頑張ったな」
「61歳にもなってこんなお仕置きを食らうとは。 潮時なんでしょうか」 とジェフリーズ。
「かもな」
以下、会話が続きます。
「何が楽しくてウソつきのクズを追い回しているんだか」
「大抵は50で引退だ」
「一度休暇を。10時間車を飛ばしてゴルフ場完備の保養所へ。でもやることがなくてすぐ戻ってきました」
「俺も仕事をやめたら何をすりゃいいかわからん」
「得意だから選んだ仕事だが こんなに続くとは」
「クズを追い回すのが お互い好きなんだろうな」
ボスは自分のオフィスへジェフリーズを誘います。
「ちょっと来い」
「電話番しないと」
「ここでも聞こえるさ」
ボスは机にマグカップを二つ並べて、酒を注ぎます。そして一つをジェフリーズに手渡して言います。
「おめでとう」
二人はマグカップ酒で乾杯して、にやりと笑います。
刑事生活の晩年を迎えた二人の男。言葉は少なくても、ビシビシと思いが伝わります。
若い刑事たちには分からない、二人だけに通じる思いが。
ボスの不器用な心遣いが、なんともいい感じです。こんな上司にワシもなりたかったな。
ジェフリーズは次回から捜査に復帰することになりました。ボスが後任の検事補に進言したのです。
最近までハマっていたのは、イギリスBBC制作の『魔術師マーリン』。アーサー王伝説を基に、若き日のアーサーとマーリンの友情や冒険が描かれて、子供のようにハラハラドキドキしながら見ていましたが、とうとう終わってしまいました。寂しいです。マーリン・ロスです。
海外ドラマの魅力のひとつに、登場人物が交わす会話の面白さがあります。夢酒は字幕派なので、絶妙なセリフが入ると、思わず翻訳者の力量に拍手を送りたくなります。
で、今回は『コールドケース 迷宮事件簿』 シーズン3 第21話から。
あのジェリー・ブラッカイマーが手がけるアメリカのTVドラマです。
「コールドケース」とは未解決事件の意味。フィラデルフィア市警殺人課の刑事たちが未解決の殺人事件を再捜査する中で、事件当時の社会背景や被害者を取り巻く人間模様が浮かび上がり、やがて意外な犯人へと辿り着きます。被害者の無念、遺族の悲しみ、そして犯人の苦悩さえもが胸に迫ってきます。
時には50年以上も前の事件を追うこともあります。街も人もすっかり変わっています。犯人が生きているかどうかも分かりません。もし生きていても、よぼよぼの老人になっている筈です。
それでも刑事たちは、決して捜査をないがしろにしません。被害者とその遺族に寄り添い、真実を明らかにすることが使命だと考えているからです。「被害者が 誰ひとりとして忘れ去られぬように」と。
事件が解決して‘CLOSED’(解決済)とフェルトペンで書かれたケースが書庫に収められると、殺された人が一瞬現れ、ありがとうと言いたげに微笑んで消えていきます。この場面で、ついウルっとなってしまいます。
なお、ヒロインのリリー・ラッシュ刑事を演じるキャスリン・モリス(←すげえ美人です)は、Wiki先生によると、名古屋に住んでいたことがあるそうです。
さて、そんな刑事たちも人の子です。前回(第20話)では、黒人のベテラン刑事ウィル・ジェフリーズは、少女レイプ殺人事件の再捜査を認めない検事補を殴ってしまいました。その検事補は犯人とされた死刑囚の無実を証明する手紙を隠していたのです。死刑囚も黒人でジェフリーズと同郷だったことから、背後に人種差別があることを伺わせます。
結局死刑が執行された後に真犯人が判明し、クソ検事補は解雇されます。でもジェフリーズも無期限に捜査から外され、不慣れなデスクワークをさせられるハメになります。
今日はジェフリーズの誕生日。しかし彼は、何もしないで欲しいとボス(スティルマン警部補)に頼みます。
そして慌ただしく一日が終わり、リリーは担当事件の関係者に話を聴くためNYへ。それぞれに用事を抱えた他の後輩刑事たちは帰宅。
一人デスクに残ったジェフリーズに、ボスが声をかけます。
「今日は電話番を頑張ったな」
「61歳にもなってこんなお仕置きを食らうとは。 潮時なんでしょうか」 とジェフリーズ。
「かもな」
以下、会話が続きます。
「何が楽しくてウソつきのクズを追い回しているんだか」
「大抵は50で引退だ」
「一度休暇を。10時間車を飛ばしてゴルフ場完備の保養所へ。でもやることがなくてすぐ戻ってきました」
「俺も仕事をやめたら何をすりゃいいかわからん」
「得意だから選んだ仕事だが こんなに続くとは」
「クズを追い回すのが お互い好きなんだろうな」
ボスは自分のオフィスへジェフリーズを誘います。
「ちょっと来い」
「電話番しないと」
「ここでも聞こえるさ」
ボスは机にマグカップを二つ並べて、酒を注ぎます。そして一つをジェフリーズに手渡して言います。
「おめでとう」
二人はマグカップ酒で乾杯して、にやりと笑います。
刑事生活の晩年を迎えた二人の男。言葉は少なくても、ビシビシと思いが伝わります。
若い刑事たちには分からない、二人だけに通じる思いが。
ボスの不器用な心遣いが、なんともいい感じです。こんな上司にワシもなりたかったな。
ジェフリーズは次回から捜査に復帰することになりました。ボスが後任の検事補に進言したのです。
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