夢酒、18年ぶり(推定)にジーンズを穿く
その昔、夢酒は筋金入りのジーパン至上主義者であった。
学生時代には、ジーパン2本で一年過ごしたこともあるくらいでね。カネがなかったのが一番の理由だけど。
その頃爆発的に流行ったのはベルボトムという奴で、股上が超浅く、腰回りから膝まではパツンパツン。膝下から極端に裾が広がって、ほとんど足のつま先まで覆ってしまうという、今思えば相当ケッタイなカタチであった。そしてワシら先進的若者は、こいつを引きずるようにして、街やキャンパスを闊歩したものだ。[註1]
しかしこれは数年で下火になり、いつしか普通のジーパンに回帰していった。
やがてブランドに目覚めると、リーヴァイスだラングラーだ、いやリーだとメリケンモノに傾倒し、「やっぱジーパンはリーヴァイスの501だべ」、などと利いた風なことを語り始めるのである。
もっとも501はボタンフライなので、めんどくさくなって、あとさき1本だけで終わっちゃったな。
とはいえ、ジーパンは決して穿きやすいものではなかった。ゴワゴワして、窮屈で、重たくて。
この難敵をいかにねじ伏せて穿きこなすか、または穿きこなしているように見せるか、というのが最大の問題であった。
買ったその日から昼夜を分かたず穿き続け(寝るときもね)、洗濯はチカラ業でガシガシと。時にはわざと乱暴に扱ったりして。もちろん買うときには縮みを計算して、慎重にサイズを選び、裾上げしなければならない。失敗は許されない。[註2]
ジーパンとの戦いは、まさに渾身のガチンコ勝負だったのである。
まあ、そうやって、次第にスレて馴染んでいく過程が楽しみでもあった訳ですな。
でもね、歳を食うに従って、だんだんそういうのが億劫になっちまった。
で、18年ほど前(推定)のある日、突然夢酒は思った。
もう無理してジーパン穿くのやめよっと。
冬は寒いし、夏は暑いし。
チノパンの方がラクだし、カミさんも洗濯しやすいだろうし。
こうして夢酒史におけるジーパン時代は、いったん幕を閉じたのであります。
~途中休憩~
ところが、最近またジーンズ(←ここからはそう呼ぶ)が気になり始めてね。
考えてみれば、夢酒がジーンズを捨てた理由のひとつは、「おなかが苦しいから」であった。
そうしてラクな方へとばかり流れていったことが、先のズボン騒動(前記事参照)につながったのではなかったか。
ダンディ夢酒としては、おなかの緩みは気の緩みと、深く反省したのである。
一方、周りを見渡せば、オッサン・オバハンはもとより、じーじ・ばーばまでも、当たり前のようにジーンズ(のようなもの)を着用している。かつてのストイックな戦闘ズボンは、国民的普段着となり、オシャレ着にさえなった。
あの頃、いつも可愛らしいワンピースだった女の子が、初めてのデモに真新しいジーパン姿で来たときの、恥じらうような初々しさに目がくらんだのは、もはや遠い昔話である。[註3]
それはさておき、聞くところによると、これほどジーンズが普及し定着したにもかかわらず、老舗の国産メーカーは経営難に苦しんでいるらしい。
きっとユ○クロとかファストファッションの格安ジーンズに持ってかれちゃったんでしょうね。
そう言えば、町に数軒はあったジーンズショップは、いつの間にかなくなっちゃった。
そこで夢酒は考えた。
今こそ誇り高きオールド・ジーニストの生き様を見せてやらねば!
という訳で(いつもながら長い前置きですいません)、決意も固く某ショッピングモールのライトオンへ乗り込んだんですよ。
そしたら、あまりにも種類が多くて、どれにしたらいいのか分からへん。
仕方ないので、店のお姉さんに訊いてみた。
「マドモアゼル、普通のストレートはどれかね」
すると、
「こちらのはストレッチがきいていて、とてもラクですよ~」
・・・だからさあ、そげな志の低いやつはダメなんだってば!
「いや、まっとうなデニムがいい。ジャポン製でね」
それではこちらを、と出してくれたのが、EDWINの503ですわ。
男のストレートなのだ。
ところが、穿いてみると、えらく軽くて、柔らかくて、肌触りよし。しかも適度に伸縮しよるから、腹もラクチンやんけ。
なにこれ、昔の奴とは大違いじゃねーか。
う~ん、ワシのジーンズ道にはちと反するが、
穿きやすいからこれに決めた!
【ご案内】
書き足りなかった点について、それぞれ[註]として解説しようとしたら、あまりにも長文になっちゃたので、次の記事にまとめました。
学生時代には、ジーパン2本で一年過ごしたこともあるくらいでね。カネがなかったのが一番の理由だけど。
その頃爆発的に流行ったのはベルボトムという奴で、股上が超浅く、腰回りから膝まではパツンパツン。膝下から極端に裾が広がって、ほとんど足のつま先まで覆ってしまうという、今思えば相当ケッタイなカタチであった。そしてワシら先進的若者は、こいつを引きずるようにして、街やキャンパスを闊歩したものだ。[註1]
しかしこれは数年で下火になり、いつしか普通のジーパンに回帰していった。
やがてブランドに目覚めると、リーヴァイスだラングラーだ、いやリーだとメリケンモノに傾倒し、「やっぱジーパンはリーヴァイスの501だべ」、などと利いた風なことを語り始めるのである。
もっとも501はボタンフライなので、めんどくさくなって、あとさき1本だけで終わっちゃったな。
とはいえ、ジーパンは決して穿きやすいものではなかった。ゴワゴワして、窮屈で、重たくて。
この難敵をいかにねじ伏せて穿きこなすか、または穿きこなしているように見せるか、というのが最大の問題であった。
買ったその日から昼夜を分かたず穿き続け(寝るときもね)、洗濯はチカラ業でガシガシと。時にはわざと乱暴に扱ったりして。もちろん買うときには縮みを計算して、慎重にサイズを選び、裾上げしなければならない。失敗は許されない。[註2]
ジーパンとの戦いは、まさに渾身のガチンコ勝負だったのである。
まあ、そうやって、次第にスレて馴染んでいく過程が楽しみでもあった訳ですな。
でもね、歳を食うに従って、だんだんそういうのが億劫になっちまった。
で、18年ほど前(推定)のある日、突然夢酒は思った。
もう無理してジーパン穿くのやめよっと。
冬は寒いし、夏は暑いし。
チノパンの方がラクだし、カミさんも洗濯しやすいだろうし。
こうして夢酒史におけるジーパン時代は、いったん幕を閉じたのであります。
ところが、最近またジーンズ(←ここからはそう呼ぶ)が気になり始めてね。
考えてみれば、夢酒がジーンズを捨てた理由のひとつは、「おなかが苦しいから」であった。
そうしてラクな方へとばかり流れていったことが、先のズボン騒動(前記事参照)につながったのではなかったか。
ダンディ夢酒としては、おなかの緩みは気の緩みと、深く反省したのである。
一方、周りを見渡せば、オッサン・オバハンはもとより、じーじ・ばーばまでも、当たり前のようにジーンズ(のようなもの)を着用している。かつてのストイックな戦闘ズボンは、国民的普段着となり、オシャレ着にさえなった。
あの頃、いつも可愛らしいワンピースだった女の子が、初めてのデモに真新しいジーパン姿で来たときの、恥じらうような初々しさに目がくらんだのは、もはや遠い昔話である。[註3]
それはさておき、聞くところによると、これほどジーンズが普及し定着したにもかかわらず、老舗の国産メーカーは経営難に苦しんでいるらしい。
きっとユ○クロとかファストファッションの格安ジーンズに持ってかれちゃったんでしょうね。
そう言えば、町に数軒はあったジーンズショップは、いつの間にかなくなっちゃった。
そこで夢酒は考えた。
今こそ誇り高きオールド・ジーニストの生き様を見せてやらねば!
という訳で(いつもながら長い前置きですいません)、決意も固く某ショッピングモールのライトオンへ乗り込んだんですよ。
そしたら、あまりにも種類が多くて、どれにしたらいいのか分からへん。
仕方ないので、店のお姉さんに訊いてみた。
「マドモアゼル、普通のストレートはどれかね」
すると、
「こちらのはストレッチがきいていて、とてもラクですよ~」
・・・だからさあ、そげな志の低いやつはダメなんだってば!
「いや、まっとうなデニムがいい。ジャポン製でね」
それではこちらを、と出してくれたのが、EDWINの503ですわ。
ところが、穿いてみると、えらく軽くて、柔らかくて、肌触りよし。しかも適度に伸縮しよるから、腹もラクチンやんけ。
なにこれ、昔の奴とは大違いじゃねーか。
う~ん、ワシのジーンズ道にはちと反するが、
穿きやすいからこれに決めた!
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書き足りなかった点について、それぞれ[註]として解説しようとしたら、あまりにも長文になっちゃたので、次の記事にまとめました。
この記事へのコメント
ジーンズは、穿き込んで自然の風合いが増してく様こそですわな。
わちきが嫌いなんが、ケミカル加工やら、わざとダメージ加工してあるヤツやら。
こんなんが、ご立派な値段で売られてるの見るとね・・・
で、師匠には是非にベルボトムアゲインを!
裾ズリズリさせて、颯爽とナゴドに乗り込んで来て欲しいですわ。
その足元には、ろんもちのロンドンブーツで!(笑)
正直、今のジーンズが(しかも定番とされる奴が)こんなに穿きやすいとは知らなんだ。
まあ、ジーンズも進化しているということなんでしょうな。
もう昔のゴワゴワには戻れん、というか戻りたくないっす(←本音)。
ケミカル加工とかダメージ加工とかは、邪道ではあるが、お好きならどうぞと。
ベルボトムは欲しくてもライトオンには売っとらんかった。どこさ行けば買えるんだよ。
あと夢酒が許容するのはスリムまでで、スキニーなんて男が穿くなよ。あれは若いおなごが穿いてこその眼福なのじゃ(失言?)。
をやかたのコメントにインスパイアされて、次頁でワシのジーンズ道(のようなもの)を語っちゃったよ。