夢酒、ズボンと格闘する(下)

〈前回までのあらすじ〉

 北海道のホテルでディナーの後、大浴場で体重計に乗った夢酒は驚愕するのであった。



 まあ、正直そのときは「びっくりポンや~」程度だったんですけどね。
 一週間後、息子の嫁さん(このときは婚約者)のご両親と、名古屋で食事会をすることになっていて、当日スーツを引っ張り出したら、
 
 アカン、ズボンが入らへん!!

 ほかのスーツも基本的に同じサイズで作ってるから、どうしようもありません。
 無理やり腹引っ込めて、ズボン穿いていきましたよ。
 もうね、食事会の最中苦しうて苦しうて。

 そこで、仕立ててもらった某MデパートのYさんに電話しましたわ。
 「もしもし、ワシ、えらいことになっちゃってさ~」
 「ええっ、どうされました?」

 かくかくしかじかと事態を述べると、
 「おやおや、さては年末年始に旨いものをたらふく食って、おなかが成長しましたね」

 図星やんけ。

 早速直して貰うことにしたんですが、ここまではよくある話。
 
 「ついでと言っちゃナンだが、よそで買った奴も直して貰えんじゃろか」

 「もちろんOKです。一緒にお持ちください」

 ということで、これまでYさんに仕立てて貰ったスーツのパンツ3本と、それ以外のを2本、計5本持ち込みましたよ。


 で、ここからがようやく本題であります(前置き長すぎ)。
 問題は、このスーツでして、


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 20年ほど前に購入したJプレスのオーセンティックモデルでございます。


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マニア好みの段返り3つボタン



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マニア好みのフックベント



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赤いパイピングは定番のシルシ



 高級スーツという訳ではありませんが、トラッド派だった(今もそうだが)夢酒お気に入りの一着で、大事に着てきましたから、ジャケットはまだまだイケます。けどパンツは一度広げていて、もう全然余裕があらへん。なんなら、パンツだけ新調してもいいのだが。

 「ほう、20年モノですか・・・。ちょっとJプレの売り場で訊いてみましょうかね」とYさん。

 しかし、定番モデルといえども、実際のところ色やカタチ、素材は毎年少しずつ変わっているので、同じモノはありません。似ていても、上下で着れば違いは一目瞭然。当たり前ですよね。
 
 「でも、やっぱ上下揃いにしたいよう、ぐすん」(←涙目の夢酒)
 「分かりました。何とかしましょう」
 お値段少し余分にかかりますが、というYさんに、ナンボかかってもかまわんと、Yさんにパンツを託す夢酒であった。


 さて、2週間後に引き取りに行って、穿いてみると、まことに具合良く調整されていまして、


 
目をこらして見ても
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継ぎ目が全然分からん。



 実はベルトループで隠されているんです。
 まさに神業!

 「うちのスーパー職人の作品でございますよ」と、ほくそ笑むYさん。

 どうやったかというと、


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ポケットの口がスラントになっている。


 バーチカルだったサイドポケットの布を少し切って流用したそうです。

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裏側には大工事の跡が



 もちろん事前に聞いていましたけどね、スラントポケットはむしろオーダーっぽく見えるし、これなら、上着を脱いで、ズボンのお尻が丸見えでもへいちゃらだぜ。
 一度バラして縫い直してもらってるので、少々高くても納得のお値段。それより、(たぶん)儲からない地味で面倒な作業を、見事にこなしてくれた職人さんのワザと心意気に感謝です。

 「スーツが一着助かりましたね。あと20年は着て下さいよ」(Yさん談)

 
 


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この記事へのコメント

2016年02月09日 23:57
旧暦謹賀新年m(_ _)m
いやいや、お久しゅうございます。

ま、人間寄る年波と引力には逆らえんもんですな(苦笑)
しかし、流石!太ってもダンディ!(爆)
かく言うわちきめ、実は無謀にもその逆らえんモンに真っ向勝負挑みまして・・・

年末年始のバカ食いバカ呑みにも拘らず、昨年秋より体重2キロ減。(その努力の程は、近日当店にてup予定)
お気にブランドの年明けセールでげとしたボトムスは、28インチ!試着時「をっ!はけた!」ちと感動の瞬間でした。

するとなると・・・
悩みは師匠の逆でして。わちきも大概モノ持ちのよい方で、10年以上モノのスーツを着続けてきたワケですが、これがガバガバになりみっともないこと。
増して今の主流はスリム仕立て。当時はツータック全盛でありましたから尚更で。
泣く泣く何着ものスーツ、ジャケット、パンツの類を処分致しました。

嫌味に聞こえましたら、お許しをば(笑)
夢酒
2016年02月10日 22:41
>をやかた
いやいや、を恥ずかしい。
ハタチの頃から体重はほとんど変わらず、ウエストのみ徐々に成長してきたのだが、ここにきて一気に・・・。
考えてみるに、区長をやめてホッとしてグダグダになっちゃったのがこの惨状を招いたのであろう。
おなかの緩みは気の緩みでござる。

しかし28インチとな?
ワシが一番細かったときでも29だったぜ。
今は・・・言わぬが花(笑)。
でもさ、60過ぎたら少しは腹出しとかんといかんのだよ。貫禄負けしないように(負け惜しみ)。

実はワシも昨年スーツやジャケットを大量処分しましたよ。
記事のJプレだけはどうしても愛着があって、パンツ改造を依頼しました。
オーセンティックモデルはノータックですが、今のモデルと比べるとシルエットは太いです。
まあ、流行を追うようなトシではないので、十分ですけどね。
もしこれから仕立てるのなら、パンツは「男のワンタック」がお薦めですぜ。