夢酒、バラクータを買う

高倉健さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。


あれからテレビで放映されている健さんの映画は欠かさず(たぶん)観ております。
晩年の作品群は、とても味わい深くていいのですが、地上波では任侠系はやらんのでしょうかね。観たいなあ。
WOWOWでやってた『冬の華』の健さんは、鳥肌が立つほど男らしく、切なく、かっこよかったです。

さて、健さんと言えばバラクータ、バラクータと言えば健さん。夢酒はバラクータもどきは持っているが、本物は高くて手が出なかった。しかし健さんが亡くなって、ひょっとしたらバカ売れで品薄になっているのではあるまいか?
なんだか焦ってきた。
いつ買うの? 今でしょ!
とめてくれるなおっかさん。男の覚悟を決めて名古屋の某Mデパートへ乗り込みましたよ。
で、勇んで行ったはいいが、デパートはとても広い。迷子になりそうやんけ。

とにかく「紳士ファッション」のフロアへ行けばなんとかなるであろうと5階(だったと思う)を目指す。なぜかドキドキするワシ。
ところが有名ブランドの売り場が整然と並ぶ中、バラクータと書いてあるとこなんかあれせんがや。
ウロウロ歩き回ったあげく、どうしても見つからんので、案内係らしき若い女店員さんに訊いてみた。
「ちとお尋ねするが、バラクータはどこにあるのかね?」
「え? バ、バラ・・・? ちょっとわかりませんが・・・」
「そげなことはない。ここならきっとあるはずだ」
根拠はないが、強気の夢酒である。
すると、
「あの~、それはどんなモノですか?」

夢酒は天を仰いだ。う~ん、近頃の若いおなごはバラクータも知らんのか・・・。
いやいや、怒ってはいかん。
「ジャンパーだよ。英国製の」
「ちょっと聞いてきますのでお待ち下さい」
待つこと数分、戻ってきた彼女は言った。
「あちらのコーナーで取扱っているそうでございます」
やったやった、わはは! 小躍りしながら夢酒はあちらのコーナーへ向かうのであった。

「(ドヤ顔で)えへん、ここでバラクータを扱っていると聞いたが」
「は? バ、バラ・・・?」
おいおい、またかよ。バラクータだっつーの!
少々お待ち下さいませと、奥へ行って戻ってきた女店員さん。
「こちらにございますのでどうぞご覧下さい」

おお、なんと一番奥でひっそりとワシを待っているではないか。あこがれのバラクータが。
しかし2着しかないし、それも白っぽいのとカーキ(タンというのか)色で、目当てのネイビーがないやんけ。
「マドモアゼル、ネイビーはないのかね?」
担当のお姉さん、にっこり笑って、
「申し訳ございません。現在この2点だけです」
「取り寄せは?」
「本国にも問い合わせましたが在庫がないようです。お取り寄せは無理かと」

この有名デパートに2着しかないとは・・・。もはや色にこだわっている場合ではないと判断し、夢酒は直ちに方針を変えた。
「ちょっと試着させてもらっていいかね?」
「どうぞどうぞ。こちら(タン)が高倉健さんが『あなたへ』で着ていらっしゃったバージョンです」
「お嬢さん、よくご存じですな」
「実は最近同じものをお求めになったお客様から教えていただいたんですよ」
「ほう、おいくつぐらいの方でしたか」
「50ちょっとでしょうか。なんでも2年前からあちこち探していらっしゃったようで、やっと見つけたと喜んでいらっしゃいました」

2年前というと、『あなたへ』を観て、どうしても欲しくなったんでしょうな。そして健さんが亡くなって、もういても立ってもおれんと。その男性の必死さが目に浮かぶようですわ。

「気持ちはようわかるよ。ワシが欲しかったネイビーは、健さんが『ホタル』で着ていた」
「そうなんですか。皆さん、よく観てらっしゃるんですね。ありがとうございます」
「では、これ下さい」
「よろしいですか? 『あなたへ』バージョンで」
「貴重な1着になりそうだもんね。あなたとお話できてよかった。健さんとバラクータに献杯!」


これが伝説のバラクータG9 『あなたへ』バージョンだ。
画像
専用ハンガーもつけてもらって(嬉)



でもこれ、ダブルジッパーなんですよ。もうね、合わせにくいこと。中途半端に挟むと、外れなくなっちゃうし(大汗)
悪戦苦闘してジッパーを引き上げ、帽子を目深にかぶって、ボソッと言ってみたい。

「自分、不器用ですから」

オッサン馬鹿じゃねーの? などと言うなかれ。お子ちゃまにはわからなくて結構。たとえ似合わなくとも、あんな男になりたいと、背筋を伸ばしてバラクータを着るオッサンが、この国には何人もいるはずだ。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 12

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
かわいい

この記事へのコメント

2014年12月05日 23:37
お宅様も、十二分すぎて不器用ですから!w
そして、わちきめも・・・

男として・・・日本に生まれたら、健さんに憧れる!
米国に生まれたら、イーストウッドに憧れる!
肘当てのついたツイード織りのジャケットも・・・いやいやw
夢酒
2014年12月06日 17:34
>をやかた
義理と人情を秤にかけりゃ~♪
気がつけば「唐獅子牡丹」を口ずさんでいるワシ。
今年の忘年会はこれと「網走番外地」と「時代おくれの酒場」で決まりじゃ。
バラクータを着ていったろか。
大好きだったよ、健さん・・・(涙)
そういえば『居酒屋兆治』でも、健さん、これ着てたなあ。元恋人(大原麗子)の遺体を抱きしめる姿にじんときたものだ。
イーストウッドは、夢酒の中では菅原文太さんのイメージですな、顔的に。
おフランスに生まれたなら、ジャン・ギャバンかアラン・ドロンかリノ・ヴェンチュラか(『シシリアン』つながり)。今ならジャン・レノが一番近いかな。
エルボーパッチ付き、ヘリンボーン柄のツィードジャケット、マジで欲しくなっちまったやんけ(笑)
sahokokko
2015年01月25日 16:40
広小路様、ご無沙汰でございます。
お変わりありませんか。

わたしは任侠ものは見たことがなく、高倉健といえば、低学年のときに映画館で見た「遥かなる山の呼び声」でした。子どもながらに、別れの場面が悲しくて悲しくて、涙をぽろぽろ流した記憶があります。
ストーリーはうろ覚えなのにひたすら悲しかったことだけ覚えており、大人になって、あれはどんな映画だったのかなあと思っていたところの健さんの訃報でした。このたび改めて鑑賞してみて、あのときのわたしは、子役の、吉岡くん演じる武志にすっかり感情移入してたんだなと思いました。今回、いくつか他の映画も観ましたが、健さんにはほれぼれしますですね。でもでも、わたしにとっては「遥かなる山の呼び声」がベストです。
しかし、どうしてうちの親は低学年のわたしに高倉健の映画を見せようと思ったんだろう。なぞです。
夢酒
2015年01月27日 00:36
>sahokokkoさん
大変ご無沙汰しております。
ブログの更新もすっかり滞ってしまい、まことに申し訳ありません。
これも妖怪のしわざです(汗)
区長職もあと2ヶ月ということで、ただいま追い込み態勢。早く楽になりたいです。
健さん映画の中で、夢酒のベストは、う~ん・・・『居酒屋兆治』ですかねぇ。大原麗子さんが出ているから。
というのは冗談ですが、決してヒーローではない、普通の男としての健さんが、かつての恋人を想う気持ちのやるせなさを表現していて何べんも観ました。大原麗子さんの、まるでご自身の死を予感させるような、鬼気迫る演技も凄かった(怖かった)です。
「あなたが悪いのよ、あなたが意気地なしだから」・・・(自分に言われているように?)なぜか心に突き刺さりましたよ。
親御さんは「遥かなる山の呼び声」の、はかなくも深い愛をあなたに感じてもらいたかったのではないでしょうかね。健さん=任侠系という先入観にとらわれず。
とはいえ夢酒は、「唐獅子牡丹」などは完璧な様式美だと思っています。とにかく理屈抜きにかっこいいです。一度ご覧になって下さいな。