人生はマラソンなのか?
見覚えのある風景だと思ったら、これ、名古屋・三の丸界隈の官庁街ですね。
県警本部や愛知県自治センターなどが、はっきり映り込んでいます。
キミら、いつのまにこんなロケを?(笑)
スタートから50秒過ぎあたりで、突然池松くんが立ち止まり、コースを外れる。
整然と走っていた大勢のランナーたちも、てんでんばらばらに方向を変えて、名古屋の街はカオス状態に。
「民衆の歌」のアンサンブルが流れ、
池松くんのつぶやきが、次第に叫びへと変わる。
「民衆の歌」が始まった時は、これからみんなで大津通に巨大バリケードを作るのか?と期待しましたが(笑)、それはなかったみたいです。(←当たり前じゃ)
こうしてみると、歌詞の内容は上手くハマっていますな。
Do you hear the people sing ? 民衆の歌が聞こえるか?
Singing the song of angry men ? 怒れる者たちの歌う歌が
It is the music of the people それは民衆の歌声
Who will not be slaves again ! 二度と奴隷にはならない人々の
When the beating of your heart 君の心臓の鼓動が
Echoes the beating of the drums ドラムの鼓動と響きあうとき
There is a life about to start まさに生命が始まる
When tomorrow comes ! 明日が来れば!
Ah... Tomorrow comes ! 明日が来れば!
※日本語は夢酒の下手な直訳です。
派遣切りやブラック企業の酷使・低賃金・使い捨てに苦しむ若者たちへのエールとして作ったのでしょうか。
リクルートがどの口で言うか!という突っ込みはさておいて(笑)
わずか2分の枠に、これほどの映像とメッセージを込めた手腕は、素直に素晴らしいと思う。
「民衆の歌」を合図にランナーたちの「反乱」が始まるところなど、映画っぽくてよろし。制作者はレミゼファンかな。
綺麗ごととは言いません。たとえ青臭くても、「そんなのは綺麗ごとだ」と、鼻で笑って斥けようとする者は嫌いです。
でもね、よく考えて欲しい。コースを外れ、「自分だけの道」を走ることがどれほど厳しく、辛く、難しいか。
自分のことを言うてはナンだが、夢酒は20代でコースを外れた。というか、エントリーさえし損なった。
そんな奴が還暦超えの今日まで、どうにか生きてこられたのは、ひとえに幸運だったとしか言いようがありません。
オノレの努力なんか、まあ、2割くらいかな(←謙遜)
白状すれば、ひたすらコースに戻ろうとした何十年かの「努力」を、周囲が認めてくれたのだろうと思うのです。
このCMに感動し、自分の「人生」を重ねる若者に、ひとつだけオッサンは言いたい。
コースを外れれば、その日から寄る辺ない孤独の道が待ち受けています。荒野をひとり走る池松くんはカッコいいが、寄り添ってくれる人、見守ってくれる人がいなければ、走り続けることはできません。
だから、あなたの家族、友人、恋人、親しい人々の手を、決して離してはいけない。
言い方は悪いのですが、時には彼らを「利用」するくらいの「したたかさ」が必要だし、その痛みにも耐えていかなければならない。
それが、コースを外れるということです。経験者が言うのだから間違いありません。
CMの最後で、池松くんが視聴者に向かって言います。
「誰が人生はマラソンだと言ったのか?」
夢酒は答えます。
「おらがそう言った」と。
we will put away the sword
The chain will be broken
and all men will have their reward!
私たちは鋤が耕すあとを歩み 剣を捨てよう
鎖は断ち切られ すべての人々が報われるだろう!
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